チェンバロを近くで見てみよう!

モデル・ブルース・ケネディー 2001年製作

M.ミートケ 1702〜4年によるジャーマン2段鍵盤チェンバロ

 

1.全体はこんな感じ 2.音を出すしくみ(弦・プレクトルム 他) 3.音色を変化させるしくみ(レジスター・バフストップ 他) 4.質問コーナー

 

3.音色を変化させるしくみ

☆ チェンバロの音色

チェンバロの音色は、弦の組み合わせによって、様々に変化します。モデルのチェンバロの場合、2段ある鍵盤のうち、下鍵盤で鳴らすことができる弦が2本(8フィートと4フィート、各1本ずつ)、上鍵盤でならすことができる弦が1本(8フィート、1本)、計3本の弦が付いていますので、数学的に計算すると、次の7種類の組み合わせが可能です(便宜上、3本の弦を8’ 8’’ 4’と表します)。

@ 8’のみ  A 8’’のみ  B 4’のみ  C 8’+8’’  D 8’+4’  E 8’’+4’  F 8’+8’’+4’

 

     弦の組み合わせを変える方法

1. レジスターノブ

チェンバロは、鍵盤を押すと、てこの原理でジャックが上がり、ジャックについているプレクトルムが弦をはじいて音を出します(前ページ参照)。モデルの楽器の場合、鍵盤を押すと、3本のジャックがすべて上がってきますが、それらのジャックが乗っているジャックガイド(またはレジスター)を左右にスライドさせることにより、プレクトルムが弦に触れる位置に、または触れない位置に調節することができます。プレクトルムが弦をはじく位置にあるときをon、はじかない位置にあるときをoffとします。

写真@

写真@は、3列の一番後ろ(バック)の8フィートのジャックガイドを動かして、offからonにするところです。レジスターノブを右側に動かすと、てこの原理で、反対側が左方向に動き、ジャックガイド全体を左方向にスライドさせます。

写真A

写真Aは、3列の真ん中、4フィートのジャックガイドを動かして、offからonにするところです。レジスターノブを右側に動かすと、写真@と同様の原理で、ジャックガイド全体を左方向にスライドさせることができます。

上図 ジャック列を真上から見たところ(上の写真Aので囲んだ部分)

注) 4’の弦は、8’の弦より、かなり下に張ってあるので、バックの8’のプレクトルムが4’の弦にさわることはありません。

下図 プレクトルムの位置の移動

左の各図の上下を比べてみて、わずかなジャックの位置のずれに注目してください。バックの8フィートは、ジャックを左にスライドさせると、onになります。反対に、フロントの8フィートは、ジャックを右にスライドさせると、onの状態になります(注・モデルの楽器では、実際にはフロント8’はスライドできません<後述参照>。一段鍵盤で、8’の弦2本のみ張ってある楽器では、フロント8’もスライドすることができます)。

 

2.カプラー機能

ここまでの説明で、3列のうち、レジスターノブで動かせないジャックガイドがあるのに、お気づきになりましたか?3列のジャックガイドのうち、一番手前(フロント)の8’は、モデルの楽器では、レジスターノブでスライドさせることができません。このレジスターは、2段鍵盤の上鍵盤に対応していて、つねにonの状態になっています(offにすることができない)。

つまり、上鍵盤は、つねにフロントの8’だけを、鳴らせる状態になっています。

下鍵盤に対応する弦だけが、レジスターノブでonとoffに調節できるのです。

2段鍵盤の楽器の場合、上鍵盤と下鍵盤を連動させることができます。この機能を、カプラーといいます。モデルの楽器の場合、上鍵盤が、まるで引き出しのように、前後にスライドします。後ろへとスライドさせる(引き出しを閉める方向にうごかす)と、連動機能が働いて、下鍵盤のキーを押すと、同時に上鍵盤のキーも下がる状態になります。

下鍵盤のレジスターを両方(8’と4’)onにした上で、カプラーをかけたときに初めて、3本の弦すべてを組み合わせて鳴らすことができます(8’+8’’+4’ の組み合わせ)。

 

☆ バフストップ

チェンバロの音色を変化させるもう1つの方法として、弦の隅に小さなフェルトを当てて、少しだけ消音するという機構がついています。これを、バフストップ、またはハープストップといいます。モデルの楽器では、バックの8’(下鍵盤に対応した8’)に、この機構が付いています。

 

バフストップを動かしたところ。右図では、水色の弦に、白いフェルトが触れている。

 

付) モデルの楽器には付いていない機構

リュートストップ・・・弦の端をはじくためのジャックレールを、通常のレールの他にもう一そろい設け、極端に曇った音を出す機構。弦の隅からはじかれる点までの距離(プラッキングポイント)が短いために、鼻にかかった(ナザール)曇った音がすることから、この機構自体が「ナザール」と呼ばれることもある。

 

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